
武士道シックスティーン (文春文庫)
誉田 哲也
文藝春秋 / 2010-02-10
この本について
自分の好きなことを続けているはずなのに、ふと「なんでやってるんだっけ」と立ち止まってしまう瞬間ってありますよね。仕事でも趣味でも、続けるほどに比較や不安が入り込み、最初のワクワクが遠ざかっていくあの感じ。僕自身もよく迷うので、読んでいる彼女たちの揺れに、妙に心がざわつきました。 『武士道シックスティーン』が効いてくるのは、主人公たちが“強さ”を語る物語でありながら、その裏で自分の「好き」に触れ直す物語でもあるところです。勝てるかどうかより、自分が本当に好きなのかを天秤にかける場面は、競技の話に見えて、結局は人生の判断そのものなんだと思います。さらに、武蔵の言葉を引きながら「一点を見ないで空気ごと観る」という考え方も、視野が狭くなりがちな日常にそのまま持ち帰れる感覚でした。誰かに答えをもらうんじゃなくて、自分で探すしかないという言葉も、焦ったときほど沁みます。 剣道の話ではあるけれど、描かれているのは、「好きなものに向き合うときの迷いと回り道」をどう扱うかという、ごく人間的な悩みです。強い人の物語を読むというより、自分の曖昧さをそのまま抱えたまま進むしかないよね、と思わせてくれる一冊でした。好きで始めたことなのに重く感じている人に、特に届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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