
現代語訳 武士道 (ちくま新書)
新渡戸稲造 and 山本博文
この本について
仕事でも人間関係でも、自分の中に“筋を通したい気持ち”と“現実との折り合い”が同時にあって、どこに立てばいいのか分からなくなることがあります。強くありたいのに、ただ頑ななだけになっていないか。逆に、柔らかく振る舞っても、自分をすり減らしていないか。その曖昧なモヤモヤに向き合いたい時、この本はけっこう効きます。 武士道というと堅苦しい倫理書のように思われがちですが、読んでみると驚くほど人間くさい。たとえば「智・仁・勇」が、知識よりも生き方そのものを指していたこと。名誉や恥の感覚が、幼い頃からの行動選択にどう影響していたか。そして「死を軽んずるより、あえて生きる勇気」のように、決して極端な行動を推しているわけではなく、状況の中でどう立つかを考えさせられます。読むほどに、昔の価値観をそのまま真似するというより、自分の中の軸を見つけ直すための材料が増えていく感覚があります。 とくに刺さったのは、「人を泥棒呼ばわりすれば、彼は泥棒になる」という一節。評価やレッテルが、人の行動を決めてしまうという指摘は、今のSNS社会でも変わらないと思いました。自分がどう見られているかではなく、どうありたいかを丁寧に考えるきっかけになります。 昔の思想を眺めながら、自分の“まっすぐすぎないまっすぐさ”を探したい人に向いている一冊です。
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