
壬生義士伝(上)
浅田 次郎
集英社 / 2014-04-17
この本について
最近、人の気持ちを汲もうとして疲れたり、自分の弱さを見せられなくてしんどくなったりしませんか。強がるのも本音を隠すのも、仕事でも日常でもよくあることですが、ふと「これって誰のためにやってるんだろう」と立ち止まる瞬間があると思います。僕もよくそこでつまずきます。 『壬生義士伝(上)』を読んでいると、そんな迷いに対して、派手な答えではなく、じわっと効いてくる視点をもらえました。たとえば、他人の痛みには寄り添うのに自分の痛みは見せない近藤勇の姿勢。理屈じゃなく、生まれや立場すら超えた「こうありたい」という姿勢だけが支えになっている感じがして、弱さを押し殺すというよりも、淡々と前に進む覚悟に近いものを感じました。また、倒れていたらとどめを刺されるという話も、無理して強くなれと言っているわけではなく、「立ち上がるしかなかった」と語られる現実味があって、自分のペースで前に出ることの大切さに気づかされます。 さらに、男の手が家族を撫で、抱き、斬りもするという描写には、一面で人を支えながら、別の面では傷つけるかもしれない人間の複雑さがそのまま出ていて、自分の中の矛盾に少し寛容になれる感じがありました。かっこよさよりも、生きるための不器用さにスポットが当たる物語です。 自分の強さと弱さの折り合いがつかずにいる人に、静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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