
椿山課長の七日間 (朝日文庫)
浅田 次郎
株式会社朝日新聞出版
この本について
仕事でも家のことでも、人との距離感をうまくつかめないまま時間だけが過ぎていくことってありますよね。言いたいことがあっても場を乱すのが怖くて飲み込んだり、逆に忙しさのせいにして大事な人とのやり取りを後回しにしたり。僕自身もそうで、「まあ今じゃなくてもいいか」と思った瞬間があとでずっとひっかかることがあります。 『椿山課長の七日間』は、そういう“先送りのクセ”みたいなものを、少しだけ揺さぶってくれます。たとえば、子どもとの一球が「一生かかってもできない対話」になりうることを思い出させてくれたり、自己主張とは別に「自己表現」を怠ると相手に誤解を与える、という現実的な指摘が胸に入ってきたりします。どちらも特別な理想論ではなく、いまの生活にそのまま置き換えられる感覚があるんですよね。 さらに、この本に出てくる「時間はあると思えばある」という言葉は、努力論ではなく、逃げ道にしていた自分の癖を静かに照らす感じがあります。許された時間で何を渡せるのか。その視点で見直すと、身近な人を幸せにするというごく当たり前のことが、急に手の届く距離に戻ってくる気がします。 身近な人との関係を「あとでいいか」で流しがちな人に、そっと効いてくる物語です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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