
人形の家
ヘンリック イプセン、島村 抱月
論創社 / 20200409
この本について
自分の中で「当たり前」とされてきた役割に、ふとモヤッとすることってありませんか。パートナーとの会話の中で、気づけば相手の期待に合わせてしまっていたり、家族のためと言いながら自分の感情をごまかしてしまったり。理屈ではなく、日常の細かいやり取りの中でじわっと積もっていくあの違和感です。 『人形の家』を読むと、その違和感が極端なかたちで目の前に置かれる感じがします。ノラが「自分で考えたい」と言い出す場面や、「あなたは私を愛していたんじゃなくて慰みにしていただけ」と告げる場面に反応する人が多いのは、無理もないと思っています。誰かの“善意”や“常識”の中で扱われ続ける苦しさって、言葉にするとこういう温度なんだな、としみます。 この本が効いてくるポイントは、まず、自分がどんな関係の“形”を受け入れてきたのかを静かに見直すきっかけになるところ。もう一つは、ノラの決断の善悪ではなく、その手前にある「わからないから考えたい」という姿勢に触れることで、自分の選択にも余白を取り戻せるところです。そして、相手の言葉が“愛”に見えて実は“所有”だった、という線引きの難しさにも気づかされます。 パートナーシップや家族の枠組みの中で、自分の声がどこかに埋もれているように感じる人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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