
アントキノイノチ (幻冬舎文庫)
さだ まさし
幻冬舎コミックス / 2011-10-24
この本について
仕事でも人間関係でも、誰かの気持ちを受け止めきれずに「自分は弱いんじゃないか」と落ち込むことがありませんか。正論よりも現実のほうが重くて、きれいごとでは片づかない場面にぶつかると、自分の立ち位置がわからなくなることがあります。私も同じで、うまくできない日のほうが多いです。 『アントキノイノチ』は、そういう揺れの中にいるときにそっと思考を動かしてくれる物語でした。読者が保存していた「生きることの凄さは、本人でも、死んでもわからないかもしれない」という一文は、強い励ましではなく、むしろ“わからないままでも生きていくしかないよね”という現実の重さに寄り添ってくれます。また「リーダーは一番弱い者の代弁者でなくちゃならない」という言葉は、強くふるまうことより、弱さに気づける人間であることの価値を思い出させてくれました。さらに、遺品整理の場面で描かれる臭いや温度まで伝わる描写は、他人の人生の続きを確かに受け取るとはどういうことかを、頭ではなく身体に落としてくれます。 派手な答えはないけれど、「弱さを抱えたまま誰かと向き合うこと」に少し前向きになりたい人に刺さる本だと思います。読後に何かが劇的に変わるわけではないですが、明日の会話や表情がほんの少しやわらかくなる、そんな作用のある一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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