
あばばばば
芥川 竜之介
学研プラス / 2019-05-16
この本について
忙しさに追われていると、ちょっとした景色や物の手触りに気づく余裕がなくなります。気づけば、毎日が「やることをこなすだけ」になっていて、自分の感情がどこにあるのか見えなくなることもあります。そんな時期に読むと、不思議と足元の世界が少しだけ立体的に見えてくるのが、芥川竜之介の「あばばばば」でした。 あなたが保存した抜粋にもありますが、主人公が一銭のマッチ箱に妙な美しさを感じたり、店の小僧の曖昧な返事に微妙な違和感を覚えたり、日常の「どうでもいいはずの瞬間」が妙にくっきり描かれていきます。大げさな事件が起きるわけではないのに、気づくと自分の中の感覚が少しだけ澄んでいく。そんな読後感があります。たぶん、私たちが普段スルーしている細部に、実は気持ちの揺れや判断のクセがこっそり潜んでいるからなんだと思います。 この作品は、人生を劇的に変えるようなタイプの本ではありません。でも、目の前の景色がちょっと違って見えたり、自分の感受性がまだちゃんと生きていたことを思い出させてくれる力があります。特に「最近、自分の心が鈍くなっている気がする人」には静かに効いてくるはずです。 派手さはありませんが、忙しさの隙間にそっと置いておきたくなる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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