
河童
芥川 竜之介
三和書籍 / 2020-12
この本について
日々、人間関係や仕事でつい「自分だけおかしいのか?」と不安になったり、社会の空気に合わせながらもどこかしっくりこない感じが残ったりしませんか。正しさを語るのも疲れるし、かといって流されすぎるのも嫌だし、そのどちらにも落ち着けないままモヤモヤがたまっていく。僕もよくその状態になります。 芥川の『河童』は、そんなときに少しだけ空気を入れ替えてくれる作品でした。河童たちは皮肉たっぷりに語るんですが、どこか人間社会の鏡みたいで、「自己を弁護するほうが難しい」という言葉に、まず自分の立場を守ろうと必死になっていた心がほぐれました。また、「我々の生活に必要な思想は三千年前に尽きたかもしれない」というくだりに、最新の正解を追い回すより、自分の中にすでにある価値観を見直せばいいのかもしれないと思えたりします。それから「阿呆はいつも彼以外のものを阿呆であると信じている」という一言は、自分も他人もどこか偏りながら生きていることを、少し笑いながら受け入れるきっかけになりました。 突き放しているようでいて、どこか人間へのまなざしが温かいところがこの作品の魅力です。深刻になりすぎず、でも誤魔化さず、いったん外側から自分の生活を眺めたい人に向いています。 「自分の考え方に少し余白をつくりたい人」に特に刺さると思います。悩みを解決してくれる本ではないけれど、考える余力を取り戻す手助けにはなるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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