
羅生門・鼻(新潮文庫)
芥川龍之介
千歳出版
この本について
人付き合いで、相手の幸せを喜びきれない自分に気づいて落ち込んだり、逆に「なんであの人ばかり…」と複雑な気持ちを抱えてしまう瞬間ってあります。表では言えないだけで、心の奥ではいろんな感情が同時に動いているのを、どう扱えばいいのか迷うことがあります。 芥川の短篇を読むと、そのぐちゃっとした心の動きが、人間のごく自然な姿として描かれます。例えば、人の不幸に同情しながらも、そこから抜け出した相手にどこか物足りなさを感じてしまう二面性。これを読んでいると、自分の中の矛盾が「おかしいことではない」と少しだけ受け止めやすくなるんです。また、人を笑う前に自分の慢心を捨てるという一文は、誰かを評価したり比べたりして疲れてしまったときのブレーキにもなります。読み終えた後には、他人の行動に過剰に反応してしまう自分との距離が、ほんの少しだけ開く感じがしました。 とくに、他人との比較でぐらつきやすい人、そして自分の感情の正体がよくわからなくなる人には静かに刺さると思います。クラシックな文体ですが、書かれている心の動きは今の生活にもそのまま入り込んできます。芥川は人生を変えてくれる…なんて大げさなことは言いませんが、自分の心の輪郭を確かめる手がかりにはなるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの57%が集中しています。
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