
羅生門 鼻 芋粥 偸盗 (岩波文庫)
芥川 竜之介
岩波書店 / 2012-12
この本について
仕事でも日常でも、自分の欲や感情をどう扱えばいいのか分からなくなる時があります。満たされないまま走り続けてしまったり、逆に欲を抑え込んで疲れてしまったり。頭では分かっているのに、行動がついてこないあのモヤモヤです。 芥川の短編を読むと、その揺れを少し俯瞰して見られるようになります。例えば「充されるか、充されないか、わからない欲望のために、一生を捧げてしまう」という一文に刺さった人は、きっと自分の中にも説明しにくい衝動を抱えているはずです。芥川はそれを断罪しません。ただ、そうした欲に振り回される人間を淡々と描くことで、自分もまた同じ地平に立っていると気づかせてくれます。 また、人に従うことで逆に自由が生まれる、という描写も印象的でした。誰かの意志に包まれながら、その中で自分の意志が伸びていく感覚。仕事で上司や組織とどう折り合いをつけるか悩んでいる人には、妙に現実味があると思います。そして、芥川の静かな情景描写――燕の羽が黒い布のように光る場面や、松明の火のように消える息づかい――は、人の内側の揺らぎを、言葉にせずとも伝えてきます。 人間の弱さや欲の扱い方を、少し距離を置いて見直したい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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