
SOSの猿 (中公文庫)
伊坂幸太郎
中央公論新社 / 2009-11
この本について
人の悩みを聞いたとき、助けたい気持ちだけが先走って、でも結局は何もできなくて自己嫌悪になることってありませんか。あるいは、誰かの機嫌や失敗の理由を「分かったつもり」になってしまい、後で自分の想像の浅さに気づいて落ち込むことも。大人になるほど、自分の限界や不器用さがはっきりしてくるのに、胸のどこかでは「もっとやれるはずだ」と期待してしまう。そのギャップに疲れたとき、伊坂幸太郎の『SOSの猿』が不思議と効いてきます。 この物語が面白いのは、悪魔祓いと企業トラブルという突飛な題材なのに、登場人物たちのつまずきや戸惑いが妙にリアルなことです。例えば、「うっかりミスは精神論では防げない」とか、「助けたい気持ちは悪いわけじゃない」とか、耳が痛いけれど救われる言葉が散りばめられています。原因を何とか突き止めようとする焦りも、分かったふりをして関係をこじらせる不器用さも、そのまま自分の日常に重なる場面ばかりで、読んでいるうちに、自分の行動の「別の見え方」が静かに浮かび上がってきます。 そして何より、この本は「誰も全部は分からないし、分からなくていい」と言ってくれるところが大きいです。人の気持ちも、トラブルの真相も、全部把握できるはずがない。それでも関わろうとする気持ちは否定しなくていい。その距離感を教えてくれる物語です。 完璧じゃない大人のまま、誰かと関わり続けたい人に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
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