
文庫 死にたい夜にかぎって (扶桑社BOOKS)
爪 切男
扶桑社 / 2019-11-15
この本について
大人になると自由になれると思っていたのに、実際はうまく甘えられなかったり、謝るタイミングを逃したり、子どもの頃より不器用になっている気がする。そんな自分にうっすら嫌気がさしつつも、どう直せばいいのか分からないまま日々が過ぎていくこと、ありますよね。僕もずっとそのタイプです。 『死にたい夜にかぎって』の抜粋を読んで、みんなが保存していた部分には、まさにその「大人のぎこちなさ」への共感がありました。できることが増えたはずなのに、大事なことほどできなくなっていく感じ。その痛みを、爪切男さんは自分のずるさや弱さごと正面から書いていて、それが妙に救いになります。完璧じゃなくていいと思えるのは、こういう“等身大の失敗談”に触れた時なんですよね。 もう一つ響くのは、人間はどこかに必ず隙間があって、それを他人に少し埋めてもらわないと生きていけないという視点です。強がって一人で完成しようとするほど苦しくなるけれど、人と暮らす中で起きる面倒ごとも含めて、「全部が自分を形づくっている」と思えると少しだけ呼吸が楽になる。本書はその感覚を、恋愛や仕事や生活の失敗の中でゆっくり思い出させてくれます。 うまく生きられていない自覚がある人ほど、この本は静かに沁みます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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