
倫理21 (平凡社ライブラリー 471)
柄谷 行人
平凡社 / 2000-02-01
この本について
仕事で判断に迷ったときや、人との関わりで「自分の選択ってどこまで自由なんだろう」とぐるぐる考えてしまうことがあります。気づけば、周りの期待や役割に合わせて動いているだけで、本心から決めたと言い切れない。とはいえ、完全に自発的になんて生きられないよな…という現実もある。そのモヤモヤを正面から扱ってくれるのが『倫理21』でした。 柄谷行人は、自由を「好きに選べる状態」とは定義しません。むしろ、選ばざるをえなかった行為を、あとから“自由であろうとする義務”の側から捉え直すことに意味があると言います。ここが個人的には一番効いた部分で、「自由などない」と認めることで初めて倫理的な行為が立ち上がるという視点は、日々の小さな選択の重さを少しだけ違う角度から見せてくれました。また、法と道徳、共同体と個人の関係を分けて考える説明も、他人との距離感に悩みがちな人には腑に落ちやすいと思います。 大げさに人生が変わるタイプの本ではないですが、自分の行動を誰かの欲望や規範に“乗せられているだけ”に感じてしまうとき、この本は思考の地面を少し固めてくれる気がします。普遍とか自由といった言葉が気になりはじめた、あの頃の自分みたいな人に刺さるはずです。
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