
二つの「競争」―競争観をめぐる現代経済思想 (講談社現代新書)
井上義朗
講談社 / 2012-09
この本について
「競争って、避けたいのに逃げられない。でも何がつらいのか、自分でも言語化しきれない」。仕事でも生活でも、そんな空気の中でずっと走らされている感じがして、正直しんどい瞬間があります。相手もルールも終わりも見えないまま比べ続けるしかない状況って、競争というより “圧” に近いんですよね。 この本は、そのモヤモヤを「気の持ちよう」で片づけず、競争そのものの意味を丁寧に分解してくれます。スミスが区別した二つの競争概念や、経済学の中で競争観がガラッと変わった時期の話をたどることで、「いま自分が感じている重さはどこから来ているのか」が少しずつ形を持ちはじめます。特に、競争が本来は“勝者を生むため”ではなく、“誰もが自分の領分を守って働けるようにするため”の仕組みだった、という視点は、現代の感覚とは逆でハッとさせられました。 読んでみて感じたのは、競争を肯定するでも否定するでもなく、「概念が混ざっていたから議論も気持ちも混乱していたのか」という静かな腑に落ち方でした。いまの働き方の息苦しさを、もう少し距離をとって見つめたい人に向く本だと思います。
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ハイライト密度
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