
哲学の教科書 (講談社学術文庫)
中島義道
講談社 / 2001-04
この本について
ときどき、日常のふとした瞬間に「これって結局どういうことなんだろう」と立ち止まることがありますよね。仕事の判断でも、人との距離感でも、あるいは自分の存在そのものでも。考え込むわりに、どこか表面をなぞっているだけのような感覚が残る。そんなモヤモヤに心当たりがある人には、『哲学の教科書』はかなり相性がいいと思います。 この本は、いわゆる“わかりやすい哲学入門”とはまったく別物です。著者が言うように、哲学は跳び箱の跳び方を覚えるような「知識」ではなく、実際に跳び越えようとして膝が震えるところまで自分で行くしかない。たとえば「死ぬのは自分だ」という事実に真正面から向き合う怖さとか、「数える」というごく普通の行為に潜む不思議さとか、そういう“足元に転がっている問い”に、逃げずに触れ続ける姿勢をくぐらせてくれます。読んでいると、世界の見え方が少しだけざらついてくるというか、当たり前のことを当たり前として受け取れなくなる感触があります。 同時に、自分の体験を使って考えることを強く促されるのも特徴です。著者は、客観的な知識としての哲学ではなく、自分の生活や感情をそのまま材料にして考えることを求めてくる。だから読み終わると、「理解した」ではなく「これを自分の生活でどう見るか」をつい考え始めてしまうんですよね。 「わかったつもりになる瞬間に、思考は止まる」と感じている人。そんなタイプに静かに効いてくる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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