
邪魅の雫(1)【電子百鬼夜行】 (講談社文庫)
京極夏彦
講談社 / 2009-06
この本について
仕事でも日常でも、言葉が伝わらなかったり、こちらの意図と違う受け取られ方をされてモヤモヤすることってありますよね。自分の考えをどう扱えばいいのか、そもそも“正しい”受け取り方なんてあるのか…と立ち止まる瞬間が僕はけっこうあります。 『邪魅の雫』は怪異小説の枠にある作品ですが、抜粋を読んでいると、言葉や感想の扱い方、人と社会の距離感みたいなところで刺さっている人が多い印象です。作中では、言葉は誰の世間に触れるかで意味が変わるし、感想はみんな同じ価値で、その上で“社会は言葉では変えられない”という視点が静かに提示されます。これを読むと、無理に説得しようとして疲れる自分から少し距離が取れるというか、肩に入っていた力が抜けていく感じがあるんですよね。また、流行が「厚みのない世間を世界のように見せかける呪い」という描写は、情報に振り回されがちな時ほど効きます。自分の感じ方をそのまま信じればいいんだと思えるので。 とはいえ説教臭さはなく、人物の会話や風景の描写が圧倒的に生々しいので、思考だけでなく感覚で腑に落ちていくのが京極作品らしいところです。自分の感想が他より劣っている気がして口に出しづらい人や、言葉の扱いに疲れている人に特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの46%が集中しています。
読書の順序
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