
奇跡のリンゴ 「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録
石川拓治 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」制作班
株式会社 主婦と生活社 / 2010-02-26
この本について
仕事でも人生でも、「これ以上どうしようもないな」と思う瞬間ってありますよね。正しいと思ってやっているはずなのに成果が出ないとか、周りの常識に合わせたほうがいいのか揺れるとか。僕自身も同じで、頭では打ち手を探すのに、心がどうしても動かない時期がありました。 『奇跡のリンゴ』は、そういう“立ち止まり”の時間に静かに効いてくる本でした。農業の話ではあるんですが、抜粋にもあるように「害虫も益虫もいない」「木を見て森を見ず」「ひとつのものに狂えば、いつか答えに巡り合う」みたいな言葉が、仕事や人間関係の行き詰まりとかなり重なるんです。常識を足し算で積み上げるのではなく、余計な力を抜くことでしか見えない景色がある。目の前の“葉っぱ”に気を取られて、肝心の“根”を忘れていたことに気づく感覚があります。 そして、木村さんが「諦められない理由」を自分でも説明できないまま進む姿が、妙にリアルなんですよね。論理的に整理された勇気ではなく、もう少し原始的で、でも確かな“しぶとさ”。何度も常識を捨てながら、自然や人間の関係を一つひとつ見直していくプロセスが、そのまま自分の思考のほぐれ方と重なります。 うまくいかない理由を探すより、見えていない前提を疑ってみたい人に向いている本だと思います。
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