
新しいヘーゲル (講談社現代新書)
長谷川宏
講談社 / 1997-05-20
この本について
仕事でも人間関係でも、「なんでこんなに噛み合わないんだろう…」と感じることが続くと、つい全部を丸く収める方法ばかり探してしまいます。でも、そもそも社会ってそんなにきれいにまとまるものなのか、という疑問はずっとつきまといます。 『新しいヘーゲル』を読んでみて驚いたのは、ヘーゲル自身は“まとまり”よりも、むしろ“ぶつかり”のほうを重く見ていたという点でした。個と共同体が噛み合わないことを前提にし、その対立そのものが動きを生むと考える視点に触れると、自分のなかの「この状況はダメだ」という思い込みが少しだけほぐれます。さらに、知ろうとする道がしばしば自己否定の感覚を伴うことまで丁寧に描かれていて、迷いや停滞が必ずしも後退ではないと腑に落ちました。 社会がきれいに“合”に向かう物語に乗れないと感じてきた人ほど、この本のヘーゲル像は息がしやすいと思います。思考が現実にどう介入するのか、宗教や歴史の見方がどう変わるのかといった広がりもあって、自分の立ち位置をゆっくり整えたいときにちょうどいい距離感の本です。 「対立を避けるより、どう受け止めればいいのか知りたい人」に刺さる一冊だと思います。
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