これがニーチェだ (講談社現代新書)

これがニーチェだ (講談社現代新書)

永井均

講談社 / 1998-05-20

累計読者数10
平均ハイライト数 31.4件/人
推定読了時間 約2時間26分
star総合評価 78/100
start序盤集中型

この本について

ときどき、自分の判断がほんとうに自分のものなのか分からなくなることがあります。道徳とか常識とか、誰かの「こうあるべき」に押されて、気づけば自分の感覚がどこか端に追いやられている感じです。正しさを語る言葉の前で、なぜかこちらだけが縮こまってしまう、あの独特の息苦しさです。 『これがニーチェだ』が効いてくるのは、まさにその圧力に疲れたときでした。ニーチェは道徳の裏側にある力や欲望をえぐり出してしまうので、きれいごとで自分をごまかす余地がなくなります。たとえば「同情」というやさしげな態度に潜む暴力性を突きつけられると、他人への気遣いだと思っていた自分の振る舞いにも別の影が見えてきますし、「なぜ人を殺してはいけないのか」のような、誰も正面から触れようとしない問いをあえて丁寧に扱うことで、正しさの土台そのものが揺すぶられます。怖いところもありますが、そのぶん、自分が本当に拠りどころにしていたものがどこにあるのかが、少しだけ見えてきます。 世の中に役立つ答えをくれる本ではありません。でも、自分の生を肯定する感覚がどこから生まれるのかを問い直したいとき、この本は静かに火をつけてくれる気がします。表向きの倫理より、自分の内側でざらついている感覚を大事にしたい人に刺さる一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ニーチェが問うた真に本質的な問題とは何か。哲学とは主張ではない。徹頭徹尾、問いである。〈神の死〉を語り、道徳を批判し、力への意志を説いた希代の哲学者の問いの構造を、見るも鮮やかに抉り出す快著。(講談社現代新書)
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