ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)

ウィトゲンシュタイン入門 (ちくま新書)

永井均

累計読者数13
平均ハイライト数 24.5件/人
star総合評価 70/100
start序盤集中型

この本について

日々仕事をしていると、「自分が見ている世界って、本当にみんなと同じなんだろうか」とか、「言葉にした瞬間に、何か大事なものがこぼれ落ちている気がする」といったモヤモヤが抜けません。説明しようとすると言葉が空転する、でも黙っていると自分でも何を考えているのか掴めない。そんな行き止まりのような感覚が続くことがあります。 永井均さんの『ウィトゲンシュタイン入門』は、その行き止まりそのものを丁寧に扱ってくれる本でした。世界の「内容」ではなく、そもそも世界が「この世界として立ち上がる仕組み」に話が及ぶので、思考の前提を掘り下げたい人にはしっくりくると思います。たとえば、言語と世界が同じ論理形式を共有しているという発想は、「なぜ言葉が通じるのか」という素朴な疑問に、一段深い視点を与えてくれます。また、価値判断や挨拶のような“事実を記述しない言葉”が前期ウィトゲンシュタインから排除されていたという指摘は、「言葉の意味って何なのか」という問いをより現実的な形で考え直すきっかけになります。そして、独我論の「私」が誰にも理解されえないという話に触れると、自分の孤独感や世界への距離感が、単なる気分ではなくひとつの哲学的テーマとして見えてきます。 自分の感じ方や思考の限界線を、一度きちんと見直したい時に効く本です。特に「言葉にできないモヤモヤがずっと残っている人」には刺さる一冊だと思います。

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