
〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤 (講談社現代新書)
下條信輔
講談社 / 1999-02-20
この本について
仕事でも生活でも、同じ場面を見ているはずなのに、人と話がずれることがあって、「自分の感じ方って信用できるのかな」と思うことがあります。気分に左右されて判断がブレたり、疲れていると景色まで違って見えたり。こういう揺らぎをどう扱えばいいのか、ずっと答えが出ないままの人は多いと思います。 この本は「脳は単体で正解を計算している」という前提を静かにひっくり返してきます。錯覚のように見える現象も、実は身体と環境に合わせて知覚が調整されているだけで、「誤り」ではなく状況に適応するための振る舞いだとわかってくる。環境によって見え方が変わる色の話や、順応が単なる疲労ではなく生き延びるための仕組みだという説明は、日常の認知の揺れをそのまま許容する視点につながります。そして、記憶や判断が脳の中だけで完結せず、身体や周囲との関係で立ち上がるという考え方は、自分の調子や環境設定を見直すだけで行動が変わる理由を腑に落ちる形で示してくれます。 「なんで自分はこう感じるんだろう」と立ち止まることの多い人に向いている本です。感覚のブレを責めるより、その仕組みを知ることで、もう少しやわらかく自分を扱えるようになる一冊でした。
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