
見えない都市 (河出文庫)
イタロ・カルヴィーノ、米川良夫
河出書房新社 / 2003-07-04
この本について
最近、自分が見ている「世界」が本当にそうなのか分からなくなる時があります。職場でも家庭でも、同じ場所にいても人によってまったく違う風景が見えている気がして、正解がつかめないまま日が過ぎていく感じです。そんなときに『見えない都市』を読むと、世界の“揺らぎ”そのものを否定せずに受け止める視点をもらえました。 この本が効くのは、都市という設定を借りつつ、私たちの日常そのものを照らしてくるところです。たとえば「同じ都市でも通り過ぎる人、出ていけない人、もう戻らない人で違う姿になる」という一節は、人間関係や職場で起きている齟齬をそのまま言い当ててくるし、「語られる都市は豊かだが、実在の都市はそこまで存在していない」という言葉は、自分が抱く理想像と現実のズレを静かに示してくれます。また、「地獄の中でも、地獄ではないものを見分け、それを残す」という締めの考え方は、環境の悪さに慣れてしまいそうなときの小さな救いになります。 世界の見え方に戸惑っている人、あるいは“今いる場所の意味”がつかみにくくなっている人にとって、この本は現実から逃がしてくれるのではなく、別の角度からそっと照らしてくれる存在に近いです。自分の中の視点が一段ずれる感覚を味わいたい人には、かなり刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
読書の順序
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