
ツール・ド・フランス (講談社現代新書)
山口和幸
講談社 / 2013-06-20
この本について
スポーツの世界って、勝った負けたの数字だけを追っていると、どこか自分の仕事や生活と切り離されて感じてしまうことがあります。でも実際には、人の思いや矛盾やしきたりが折り重なっていて、その中でしか生まれない決断がある。最近、自分の役割とか、努力の報われ方にモヤモヤしている人には、ツール・ド・フランスの歴史は妙に腹落ちするところが多いんじゃないかと思います。 この本は、華やかな大会の裏にある「人間くささ」を淡々と描いてくれるところが効きます。たとえば、エースのために賞金を分け合う独特の慣習や、勝てたかもしれないのに車輪を差し出したビエットの話は、「正しいはずなのに苦しい選択」をどう受け止めればいいかを考えさせられます。さらに、歴代スターの裏側にあるドーピング問題や、気候や性格、育ちで運命が左右されていく現実は、努力だけでは説明できない世界の残酷さと、それでも前に進む選手たちの姿を見せてくれます。単純な成功譚ではなく、状況の複雑さごと描くからこそ、読みながら自分の働き方にそのまま重ねられる感覚があります。 結果だけを求められる日々の中で「それでも続ける理由」を探している人に刺さる一冊です。
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