
知的創造のヒント (ちくま学芸文庫)
外山滋比古
筑摩書房 / 2008-10
この本について
仕事の合間に思いついたことが、気づくとどこかへ消えてしまう。考えたいのに、日々の実務が頭の中を占拠してしまう。じっくり向き合いたいテーマほど、まとまらないまま放置されてしまう。そんな感覚、けっこうあると思います。自分もずっと「考える時間がない」という言い訳をしてきました。 『知的創造のヒント』は、そんなモヤモヤに「もっと頑張れ」とは言いません。むしろ、アイディアは借りてくるものではなく、心の中でゆっくり育つものだと教えてくれます。散歩や休息のような、一見“なまけているような時間”が発酵の場になること。満員電車でもいいから、ふと浮かんだ着想はその場でメモしないと二度と会えないこと。こういう具体的な行動の変化につながる視点が、この本には多いです。 そしてもうひとつ救われるのは、「すぐ形にならなくて当たり前」という前提を置いてくれるところです。何度も考え直しているうちに自然と形が見えてくる。だから、まとまらない時間そのものも思考の一部なんだと、ようやく腑に落ちました。歩くことで頭の中の霧が晴れていく感じも、読んでから意識してみたら本当に実感があります。 日々の忙しさに押されて「考える前に締め切りが来る」と感じている人ほど、この本は静かに効いてきます。
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