
オー!ファーザー(新潮文庫)
伊坂 幸太郎
この本について
大人になっても、誰かの顔色を読んだり、場の空気に流されたり、正しさが分からないまま進む日ってありますよね。頭では理解していても、人間関係のもつれや噂の広がり方に振り回される感じは、学生時代からあまり変わっていない気がします。そんなモヤモヤを思い出させつつ、少し俯瞰して見せてくれるのが『オー!ファーザー』でした。 登場人物たちが語る「人は信じたいことを信じる」とか、「大人も子どもも、誰かを蔑ろにしたがる」といった言葉は、一瞬ひねくれて聞こえるのに、妙に現実的で刺さります。学校に行くべきかどうかの話や、生徒との距離感を測りかねる教師の姿も、きれいごとではなく、現場にある迷いや不安のまま描かれていて、読んでいるこちらも肩の力が抜けました。噂に流される生徒、立ち止まってしまう子ども、それを前に「謎だな」で終わらせてしまう大人。どれも自分の生活に思い当たる節があって、ちょっと苦笑いしつつ頷いてしまいます。 そして、この物語の効きどころは、正解を押しつけないところにあります。悟の「答えがもらえる試験は貴重なんだ」という言葉のように、分からなさを抱えたまま生きる前提で話が進むので、読後に妙な安心感が残るんですよね。人間関係で悩んでいる時ほど、こういう視点が静かに効いてきます。 誰かに振り回されがちな人、自分の判断に自信が持てないまま日々を過ごしている人には、特にしっくりくるはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
読書の順序
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