
物語 アイルランドの歴史 欧州連合に賭ける“妖精の国” (中公新書)
波多野裕造
中央公論社 / 199411
この本について
歴史の本を読むとき、「結局、この時代の人たちってどんな景色を見て、何を怖がって、どう生きていたんだろう」と想像が追いつかずに、どこか距離を感じることがありませんか。自分もアイルランドのことを調べようとすると、神話や植民の話が一気に押し寄せてきて、つい抽象的な理解で終わってしまうことが多かったです。 この本は、その“遠さ”をほどよく手前に引き寄せてくれました。たとえば、古い森の薄暗い影に「何かが潜んでいそうだ」と本気で語る感性や、死を安息として受け入れる文化に触れると、歴史というより “人の息づかい” が立ち上がってくる感覚があります。また、ノルマン人がどうして強かったのかを、武器や戦い方の違いという具体レベルで説明してくれるので、植民地化の話も単なる支配・被支配ではなく、生活の現場で何が起きたのかが自然と想像できるようになります。いま自分が抱えている「なぜこの国はこうなったんだろう」という素朴な疑問にも、過剰に構えず向き合える一冊でした。 国の成り立ちを、神話から疫病、移民の心理までひと続きの物語として追ってみたい人には特に刺さると思います。歴史の本に苦手意識がある人でも、気づけば登場人物たちの足音が聞こえてくるような読み心地でした。
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ハイライト密度
多くの読者は第7章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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