
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(上) 機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ (角川スニーカー文庫)
富野 由悠季 and 美樹本 晴彦
KADOKAWA / 2021-05-10
この本について
最近、世の中のニュースを見ていると、自分の正しさってどこに置けばいいのか、よくわからなくなる時があります。理想を語るほど視野が狭くなる感覚や、何かを変えたいと思うほど自分の小ささに落ち込む瞬間って、けっこうありますよね。『閃光のハサウェイ(上)』を読み返すと、その迷い自体が人間らしさなんだと、少しだけ呼吸が戻る感じがありました。 この物語が効いてくるのは、正義や信念を掲げようとすると、必ずゆがみが生まれるという“どうしようもなさ”を誤魔化さずに描いているからです。たとえば、理想を追いながらも庶民の「暮しって、そんな先、考えている暇はない」という言葉に撃たれる場面。自分が見えていないものに急に光が当たる感じがして、刺さった人は多いはずです。また、幸せを願いながら自分で取り逃がしてしまう人間の構造や、フラストレーションが敵を作り出すという指摘は、いまの社会をそのまま覗き込んでいるようで、読んでいて妙に落ち着きます。物語の中でハサウェイ自身が、正しさと罪悪感のあいだを行き来しているのも、私たちの迷い方とそう変わりません。 正義にまっすぐ向かう話ではなく、迷ったまま進むしかない人間の姿を追いたい人に刺さると思います。自分の信念に少し息苦しさを感じている時に読むと、力む場所が変わる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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