
悪霊 1 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー and 亀山 郁夫
グループ・ゼロ / 2020-09-19
この本について
仕事でも人間関係でも、自分でも説明しきれない重さを抱える瞬間ってありますよね。表向きは普通に過ごしているのに、内側ではざわざわしている感じというか。そんなとき、自分の中の「得体の知れなさ」をどう扱えばいいのか、いつも迷います。 『悪霊 1』を読んでいて思ったのは、人の中にある矛盾や影を、無理に整理しようとしなくてもいいのかもしれない、ということでした。読者が保存していた場面の多くは、華やかさと不穏さが同居した人物の描写だったり、救済と恐怖が同時に存在する宗教的なエピソードだったり、本人すら把握できない「揺れ」を正面から描いた部分ばかりなんですよね。きっとそこに、自分の中にも説明しきれない部分がある、という感覚が重なったんじゃないかと思います。 この小説の効き方はすごく現実的で、読んだから劇的に前向きになれる、みたいな話ではありません。ただ、人の表と裏にこんなにも幅があるのだと知ることで、仕事で誰かの態度に過剰に揺れたり、自分の感情に正しさを求めすぎたりする場面で、ちょっとだけ呼吸がしやすくなる。あるいは、他人の“きらめき”と“影”を同時に見てしまうとき、自分だけが混乱しているわけじゃないと思える。それがこの本の役割に近い気がします。 自分の中の複雑さに説明をつけようとして疲れてしまう人に、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの84%が集中しています。
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