
コミュニティを問いなおす ――つながり・都市・日本社会の未来 (ちくま新書)
広井良典
この本について
人と人の距離感がつかみにくい時代だな、とよく思います。職場でも地域でも、必要最低限の関係はあるのに、どこか「自分はどこにも属していない」感じが抜けない。かといって昔ながらの濃いつながりに戻りたいわけでもない。僕自身、この中間に立ち尽くすような感覚をずっと抱えてきました。 『コミュニティを問いなおす』は、このモヤモヤを「社会全体の変化」として捉え直してくれる本でした。たとえば、今の日本で孤立が深まりやすい背景には、「ウチとソトの落差」が大きすぎる構造があること。さらに、都市でのつながりは理念やルールに支えられていて、情緒的な基盤が弱いため、関係が細切れになりやすいこと。そして意外にも、介護や教育のような“人を使う産業”こそが、これからの社会では経済的にも重要になってくるという視点。このあたりが、個人の悩みと社会の構造がつながって見える瞬間でした。 読み進めると、「自分が暮らす地域を、会社のようなメンバーシップで捉え直す」という発想が出てきます。大げさではなく、街との関係がふっと現実味を帯びるんです。見知らぬ人との関係が薄い日本社会で、どうやって“開いたコミュニティ”をつくるのか。そのヒントを地理や歴史の話と一緒に示してくれるのが、この本の面白さだと思います。 自分の居場所について考えることが増えた人、あるいは都市での孤立に薄く痛みを感じている人に、静かに届く一冊です。
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