
嫌な女 (光文社文庫)
桂 望実
光文社 / 2013-05-20
この本について
仕事でも人間関係でも、相手の言動の裏にある本音が読めなくて、妙に疲れてしまう時があります。自分だけが空回りしているような気がして、どう距離を取るべきかもわからないまま、なんとなく日々をやり過ごしてしまう。私もそういう時期が長くて、この本を読んだ時、少し呼吸がしやすくなりました。 『嫌な女』に出てくる人たちは、表向きの態度と内側の思いがズレています。寂しくないと言いながら寂しがっていたり、誰かを嫌っているようで実は気にしていたり、執念にしがみついて抜け出せなかったり。読んでいると、「ああ、人ってこんなふうに複雑なんだよな」と思い出させられます。相手の行動をそのまま受け取りすぎて、勝手に疲れていた自分に気付かされるんです。 もう一つ、この本には「自分だけが苦しいわけじゃない」という感覚が静かに染みてきます。遺言書に関わる仕事の場面で、人の虚しさや葛藤に触れ続けた主人公が、他人の人生に寄り添う中で自分の呼吸を取り戻していく描写が印象的でした。誰も完璧じゃないし、皆どこかで寂しさや迷いを抱えながら、できる範囲で前に進んでいるだけなんですよね。 相手の裏側を想像する余裕がほしい時、自分ばかり弱い気がしてしまう時、「人の複雑さと向き合うのがしんどい人」に刺さる本だと思います。読後に、人との距離の取り方が少しだけ優しくなるような一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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