
【電子特別版】オーパ! (集英社文庫)
開高健、高橋昇
集英社 / 1981-03-25
この本について
日々、同じ景色ばかり見ている気がして、気づけば心の奥が薄く曇っていくことがあります。疲れているわけでもないのに、何かに驚く感覚がすっかり鈍ってしまったようなあの感じです。忙しさでごまかしているけれど、本当は「このまま枯れていくのかな」と不安になる瞬間がある人も多いと思います。 『オーパ!』は、その曇りに風を通してくれるような一冊でした。アマゾンでの旅や釣りの記録ではあるのですが、読んでいると、著者自身がくぐり抜けてきた“中年のぬかるみ”や倦怠の重さがじわじわ伝わってきて、そこにチカッと差し込む《驚き》の光が自分のほうにも飛び火してくる感覚があります。言葉で定義してしまった瞬間に世界が小さくなる、そんな怖さと面白さが同時に描かれていて、読んでいる側も「あ、まだ自分の感覚って死んでなかったんだ」と気づかされるんです。 特に、幸福を時間の長さで語るあの一節は、妙に現実的で、同時に笑ってしまう余白がありました。理屈で整理しきれない「生きていく手触り」を、少し取り戻すきっかけになると思います。頭で考えるより、まず世界に触れ直したい人に刺さる本です。 日常の温度がぬるくなってきたと感じるとき、いきなり人生を変える必要はなくて、ただ自分の感覚がゆっくり目を覚ます方向に少しだけ舵を切る。それくらいの距離で読める一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
読書の順序
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