
双極性障害 ――躁うつ病への対処と治療 (ちくま新書)
加藤忠史
筑摩書房 / 2009-01
この本について
気分の波に振り回されていると、「これは性格なのか、病気なのか」「ただの疲れなのか、うつなのか」といった迷いがずっとつきまといます。自分の調子が読めないまま周りに迷惑をかけてしまったような気がして、余計に言いづらくなることもありました。そういう時に、この本の“線引きのしかた”はかなり現実的でした。 たとえば躁や軽躁の基準が「何日続くか」で判断されることや、本人が自覚を失ってしまうほど“正しい気分”になってしまうことは、周囲とのズレの説明としてすっと腹落ちします。また、うつに関しても「やる気の問題ではなく、普段ないはずの嫌な気持ちがずっと居座る」という描写が、自分の感覚を言語化してくれるようでした。診断に納得できず他の病院を回ってしまう気持ちまで丁寧に扱ってくれるのも、変に励まされるより安心します。 読んでいて一番ありがたかったのは、事前に“躁のサイン”を家族や医師と共有しておくという発想です。気合や根性でコントロールしようとするのではなく、再発しやすい病気として現実的に備える。その態度が、長く付き合うための視点を整えてくれます。 「調子の変動をどう扱えばいいかわからないまま、大事な人間関係まで揺らいでしまいそう」と感じている人には、静かに効く本だと思います。
読書インサイト
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