
初音ミクはなぜ世界を変えたのか?
柴 那典
太田出版 / 2014-04
この本について
最近、仕事でも趣味でも「自分の好きってどこまで通用するんだろう」と妙に自信が揺れる瞬間があって。特に、流行とかビジネスの理屈が強すぎる場所にいるほど、創作の純度みたいなものが見えづらくなるんですよね。あの頃感じていたワクワクはどこへ行ったんだろう、みたいな。 この本を読んで面白かったのは、その“熱”がどう生まれ、どう受け継がれていくのかを、ミクやボカロだけに閉じず、二つのサマー・オブ・ラブと並べながら丁寧に描いているところでした。六七年、八七年、そして二〇〇七年。どれも「既存のシステムの外側」で、誰かが採算度外視で楽しんでいただけの場所が、あとから文化として語られる。そういう視点を持つだけで、今の自分の立ち位置の見え方が変わります。例えば、数字ばかり気にして萎縮していたのが、もう少しだけ遊びや偶然を許せるようになる、みたいな小さな変化が起きるはずです。 特に響いたのは、当時のクリエイターたちが未来を悲観していなかったという話でした。外側で「終わりの始まり」と騒いでいたのは大人たちで、当人たちはただ楽しくて仕方なかったという事実。そこに、自分の創作が停滞している時に忘れがちな感覚がちゃんと残っていました。 いまの熱が小さく見えてしまう人、だけどどこかでまだ信じたいものがある人には、静かに効いてくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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