
幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)
高野秀行
集英社 / 2003-01
この本について
仕事でも私生活でも、どれだけ動いていても「自分は本当に前に進めているのか」がわからなくなることがあります。同じ景色のまま進んでいる感覚、周囲の人が何を考えているのかつかめない感じ、そして自分の判断が正しいのか不安になるあの感じです。そういう時に、高野秀行さんの『幻獣ムベンベを追え』を読むと、少し肩の力が抜けるんですよね。 この本は“怪獣探し”という奇抜な題材に見えて、やっていることはすごく人間的です。人数が多すぎて仲間が一人消えても気づかない混沌、深さ二メートルの湖を前にして「本当にここにいるのか?」と揺らぐ気持ち、異文化の気合いの「マッ」に合わせながら体を動かす瞬間。読んでいると、結局どんな探検でも、地道な観察やズレを抱えたままのコミュニケーションが積み重なっていくんだと実感します。迷っている自分を否定せずに、少しずつ前へ進むやり方を思い出させてくれるんです。 そして、おそらく読者が刺さっているのも、この“リアルな揺れ”なんですよね。ムベンベの正体がどうこうより、ジャングルで迷い、仲間の証言が食い違い、それでも現地の人の言葉や食べ物に触れながら小さな手がかりを拾っていく。自分の仕事の迷いも案外こんな感じで、はっきりした地図なんて最初からないのかもしれません。 こんな人に刺さると思います。迷いながら動き続けている自分を、ちょっと肯定したいとき。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
読書の順序
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