
今夜、すベてのバーで 〈新装版〉 (講談社文庫)
中島らも
講談社 / 2020-12-15
この本について
人と話すとき、自分を少しでも取り繕ってしまう感じや、うまく気持ちを処理できずに酒や習慣に逃げたくなる夜ってありますよね。真面目に生きているつもりなのに、自分の弱さが突然あらわになる瞬間があって、そのたびに「なんでこうなるんだろう」とぼんやり落ち込む。あの感覚に説明がつかなくて、ただやり過ごすしかない時期があると思います。 『今夜、すべてのバーで』は、そこを正面から扱う小説です。アルコール依存の話ではあるけれど、描かれているのは「人はなぜ破滅を避けられないのか」という、もっと根っこの部分でした。自分と世界のどちらかに欠けているものがあって、そこを埋めるために間違った材料を選んでしまう感じや、酔いに身を任せる瞬間のほうが“利口”に思えてしまう心の流れなど、きれいごとを外して書かれているからこそ、読んでいて妙に落ち着くところがあります。依存を moral の話にせず、「人間は何かに寄りかかって生きる生き物だ」という視点に触れると、自分の弱さも少しだけ位置づけが変わるんです。 特に、自分をごまかしながら日々を回している実感のある人や、酒に限らず“逃げ場”をどこかで抱えている人には、刺さるところが多いと思います。読んだから劇的に改善する、というタイプの本ではないのですが、あのどうしようもない感情の正体に名前がつくと、それだけで息がしやすくなる夜があります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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