
珈琲の世界史 (講談社現代新書)
旦部幸博
講談社 / 2017-10-17
この本について
仕事帰りに飲むコーヒーが日によって「妙においしい」と感じたり、逆に味がわからなくなることがあって、なんとなく自分の感覚があてにならないな…と思うことがあります。正解が知りたいわけじゃないけれど、せめて「なぜそう感じるのか」くらいは掴んでおきたい。そんなモヤモヤをそのままにしていると、毎日の小さな楽しみまで不確かなままなんですよね。 『珈琲の世界史』は、コーヒー通になれとか、味を語れと言ってくる本ではありません。むしろ「おいしさは情報にも左右される」という話から始まって、自分の感覚が揺れる理由を静かに示してくれます。豆の起源が何百万年も前に遡るというスケールの大きさや、アラビカが別種同士の偶然の掛け合わせから生まれたという事実を知ると、普段の一杯がただの飲み物じゃなくなる。さらに、焙煎や抽出で味がどう変わるのかの説明は、次に飲むときの「確かめたくなる気持ち」を自然に引き出してくれます。 歴史や科学の話が続くのに、読み終えると自分の感覚に前より少し信頼が置けるようになるのが不思議で、そこがこの本の効きどころだと思います。自分の「好き」をもう少し丁寧に扱いたい人、コーヒーに限らず身近なものの背景を知ると気持ちが落ち着くタイプの人には特に刺さるはずです。
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