
ネオリベラリズムの精神分析~なぜ伝統や文化が求められるのか~ (光文社新書)
樫村 愛子
この本について
最近、周りとのつながりは増えているはずなのに、どこか表面的で、話が深いところまで届かない……そんな感覚を抱えることが増えている気がします。自分の考えも社会の動きも、どこか噛み合っていないまま流されていく感じ。情報はあふれているのに、判断の軸みたいなものだけが細っていくような不安です。 『ネオリベラリズムの精神分析』は、そういう「噛み合わなさ」や「薄い関係に疲れる感じ」を、個人の問題として切り捨てず、社会の再帰性や文化の変化とセットで捉えてくれます。読んでいると、自分の迷いや不安がただの気分ではなく、今の社会の構造に根を持っていることが見えてきて、少し呼吸がしやすくなるんですよね。たとえば、自己責任論の中で個人がどんどん負荷を抱える仕組みとか、ネットのつながりが他者性を奪ってしまう過程とか、言葉にしにくかったモヤモヤを丁寧に説明してくれる。 同時に、この本は「伝統に戻れ」と言うわけでもなく、「近代を捨てろ」とも言わない。人が安心して変わり続けるためには文化や教育がどう機能するべきか、かなり現実的な視点で描いています。自分の再帰性をどう育て直すか、という話としても読めます。 社会の変化に置いていかれている気がする人、個人の努力では回収できない疲れを抱えている人には、静かに刺さる一冊です。
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