華氏451度〔新訳版〕

華氏451度〔新訳版〕

レイ ブラッドベリ and 伊藤 典夫

累計読者数36
平均ハイライト数 13.6件/人
star総合評価 58/100
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この本について

最近、自分の考えがせわしなく回りつづけていたり、SNSを見ては「何者かにならなきゃ」と焦ったりしませんか。忙しくしているのに満たされないとき、ふと「いまの自分って何してるんだっけ」と立ち止まりたくなる瞬間があると思います。僕もまさにその状態で、『華氏451度』を読み返しました。 この本のなにが効いたかというと、まず “自分は重要ではない” という一文の冷たさです。突き放しているようで、実は肩の力が抜ける。勝手に抱えていたプレッシャーが少し小さくなる感じがありました。次に、川から上がった主人公が「ミルク一杯と林檎と梨だけあればいい」と感じる場面。大げさな目標じゃなく、ただ呼吸できる場所を取り戻すことの大事さを思い出させてくれます。そして、祖父の言葉にある「死ぬときに手をかけたものを残す」という視点。これは人生論というより、今日の五分でも何かに触れ方を変えれば、それが自分の証しになるという地に足の着いた話として響きました。 物語そのものはディストピアですが、読み心地はむしろ静かで、混乱した思考を川辺に寝かせてくれるようなところがあります。「うまくやらなきゃ」と急ぎがちな人ほど、時間の流れが戻ってくる感覚があるかもしれません。 自分のペースを取り戻したい人に、そっと置いておきたい一冊です。

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