
華氏451度 (ハヤカワ文庫SF)
レイ・ブラッドベリ and 宇野 利泰
早川書房 / 2008-11
この本について
最近、人とちゃんと話せていない気がしたり、自分の考えがどこから来ているのか曖昧になったりしませんか。周りの情報が大きすぎて、こちらの声がかき消されていく感じというか。相談したくても、相手が壁に向かってしゃべっているような日もあります。 『華氏451度』を読むと、そのモヤモヤの正体が少しだけ輪郭を持ってきます。たとえば、本を奪われる世界では「ものごとを一面だけで教えられる」ことで、考える力そのものが奪われていきます。これが、自分の思考が薄まっていくような現実と重なるんですよね。また、誰かに話すことでやっと自分の考えが形になる、という感覚も丁寧に描かれていて、ああ、自分も同じだと思わされます。そして、知らないまま安全に生きようとすると、かえって身動きがとれなくなるという指摘にも、ハッとさせられます。 この本はいわゆる“警告小説”として語られがちですが、読んでみるともっと個人的で、人間くさい本です。自分の手で触れたものをちゃんと残したいとか、誤ることを恐れすぎると何も身につかないとか、そんな当たり前なのに忘れていた感覚が静かに戻ってきます。 思考がうるさい世界で、自分の声が薄くなっている気がする人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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