
陶淵明と白楽天 生きる喜びをうたい続けた詩人 (角川選書)
下定 雅弘
角川グループパブリッシング / 2012-06
この本について
最近、仕事に気持ちがついていかなかったり、頑張っているはずなのにどこか満たされない…みたいな感覚をよく聞きます。自分の中にもそういう揺れがあって、「名利を求めたい気持ち」と「もっとざっくり生きたい気持ち」が同時に動いている感じがするんですよね。 この本は、まさにその揺れを抱えながら生きた陶淵明と、彼に強く惹かれた白楽天の視線を丁寧に追っていきます。面白いのは、陶淵明がただののどかな田園詩人ではなく、官への未練や死への恐れといった重たい問いをずっと持ち続けていたことです。それでもなお、彼は「今、生きていることの喜び」に手を伸ばし続けた。白楽天や杜甫、蘇軾といった後世の詩人たちが、逆境の中で彼の姿勢を支えにしていたという話も、自分の生活にすっと重なりました。 名利を追うのをやめろ、みたいな単純な話ではなく、欲や迷いを否定せずに、その上でどう自分の呼吸のリズムを取り戻すか。読みながら、自分の生活のどこに「ちょっとした喜び」を置けるかを考え直すきっかけになります。 日々の選択に疲れている人、やめきれない未練を抱えたまま生きている人ほど、静かに刺さる一冊だと思います。
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