
おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか? (NHK出版新書)
池上 彰
この本について
仕事をしていると、知らないまま流されてしまう領域ってけっこうあります。経済の用語も、宗教の背景も、大学で何を学ぶべきかという話も、なんとなく聞いたことはあるのに、自分の言葉で説明しようとすると急に曖昧になる。知識のつぎはぎで世界を見ている感覚が続くと、判断に自信が持てなくなるんですよね。 池上彰さんの『おとなの教養』は、そのあたりのモヤモヤにゆっくり土台を作ってくれる本でした。印象的だったのは、「すぐに役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」という静かな視点です。リベラルアーツが本来“人を自由にする学問”だという話も、経済・宗教・科学の成り立ちを見ていくと腑に落ちてきます。ビッグバン理論が最初は悪口だったことや、マルクスやアダム・スミスの“実際に言っていないこと”を丁寧にほどくくだりも、ニュースの見え方が少し変わるきっかけになりました。 特に僕が助かったのは、「世界の制度や価値観には歴史的な理由がある」という当たり前だけど見落としがちな視点を思い出させてくれるところです。宗教と科学が思ったほど対立していない話や、大学教育がなぜ今の形になったのか、といった背景を知ると、日々の判断がちょっと落ち着くというか、急に結論を出さなくてもいいんだと思えるようになる。 ニュースを追うたびに「結局これってどういう話なんだろう」と迷子になりがちな人には、とても静かな味方になる本だと思います。
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