
つめたいオゾン (富士見L文庫)
唐辺 葉介 and usi
KADOKAWA
この本について
仕事でも日常でも、ふと「自分の生活が薄い気がする」と感じるときがあります。目の前の現実より、昔の記憶や取り返せないものの方が鮮明に感じられたり、感情の意味を考えこんでしまったり。そういう時期って、理由は説明できないのに、ずっと胸の奥がざわざわしますよね。 『つめたいオゾン』に出てくる登場人物たちも、まさにその揺らぎの中にいます。忘れることと残ることの差なんて本当は小さいんじゃないかという感覚や、身体は変わり続けているのに「私」が途切れないのはなぜかという問い。こういう視点に触れると、自分の悩みが消えるわけではないけれど、足元の世界の質感が少し変わるんです。「いまの自分の生活こそが虚構っぽい」という感覚を言葉にしてくれる場面もあって、ああ、みんなこんな揺れを抱えながら生きてるんだなと思えます。 また、喪失の中でも確かに幸せは存在していて、それに気づくには注意深さがいる、という静かなまなざしもこの物語の大事な部分です。劇的に救ってくれるわけではないけれど、自分のなかに散らばった感情をそのまま抱えて進んでいいと思わせてくれる本でした。 自分の「揺れ」を無理に整理せず、ただ確かめたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの38%が集中しています。
読書の順序
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