
もぎりよ今夜も有難う
片桐はいり
幻冬舎 / 2014-09-26
この本について
日々、仕事に追われていると「ちゃんと味わう前に全部が過ぎていくな」と感じることが増えます。効率よく動いているはずなのに、手元に残るものが薄いというか。そんな時に、片桐はいりさんのこの本を読むと、忘れていた“寄り道する感覚”みたいなものが少し戻ってきます。 抜粋を見ていると、多くの人が反応しているのは、物語そのものより「ものごとに近づくまでの手間」や「誰もいない劇場の静けさ」のような、ふだん気にも留めない時間の尊さなんですよね。映画も旅もアプローチが肝心、という言葉は、仕事の準備や人との関わりにもそのまま跳ね返ってきます。効率じゃなくて、手触りのある近づき方をしていた時ほど、あとから不思議と深く残っていることを思い出させてくれます。 もうひとつ、この本は“人の癖”の観察が妙にあたたかいです。パンフレットを袖の中から抜き取るお客さんの話なんて、面倒くささと愛しさが同居していて、読んでいてじわっと笑ってしまう。働く場所にも、日常にも、こういう人や風景が必ずいたはずなのに、急いでいると見えなくなるんですよね。 劇場を「水のないプール」と呼ぶ感性も含めて、世界の解像度が一段上がるような読書体験です。忙しさに押されて視野が平板になっている人、あるいは「最近、何かをちゃんと味わってない気がする」という人に静かに効きます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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