
鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。(新潮文庫) (鳥類学者シリーズ)
川上和人
この本について
最近、頑張っているはずなのに「前に進んでる感じがしないなあ」とか、「もっと合理的に動ければいいのに」と思うことが増えていて。自分の小ささとか限界みたいなものに触れると、どうにも気持ちが重くなります。でも、この本を読んでいると、そんな悩みが少し別の角度から見えてきました。鳥類学という一見遠い世界なのに、人間の生き方に妙に響いてくるんです。 例えば、島で生きる生物が「移動をやめたからこそ固有種になった」という話があって、これが妙に刺さりました。動いていないことを後ろめたく思いがちな自分には、立ち止まることが進化につながるケースもあるという視点が新鮮でした。あるいは、生態系がまるで舞台の群集劇のように、全員が知らないところで互いに影響し合っているという描写。自分の仕事も、目に見えないところで誰かの役に立っているかもしれないと思うと、少し肩の力が抜けました。 そして何より、この本は「自然は美しいだけじゃないし、研究も清らかなだけじゃない」という泥臭さを隠さず書いています。そこに救われる人は多いはずです。綺麗事じゃなくて、現実の中でどう折り合いをつけて生きていくかに近い感覚があるからです。 自然科学に興味がなくても、「いまの自分のペースに自信が持てない人」にはすごくしっくりくる一冊だと思います。
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