
生き物の死にざま はかない命の物語
稲垣 栄洋
この本について
なんとなく生き急いでしまう日や、未来のことばかり考えて足元がぐらつく日ってあります。自分だけが不器用に生きているような気がして、ちょっと疲れるあの感じです。そんなときにこの本を読むと、生き物たちの営みの厳しさに圧倒されつつも、「生きるってもっと素朴でいいのかもしれない」と静かに視点が変わります。 たとえば、コウテイペンギンのオスが四か月も絶食しながら卵を守る描写。必死だけど、誰かに褒めてもらうためじゃなく、ただ「そうせざるを得ない」からやっている。その潔さに触れると、自分の選択に余計な評価や見返りを重ねすぎていたことに気づかされます。また、クマの母親が周囲すべてを敵と感じながら子を守る話や、生物が本能のままに「かわいい」と感じてしまう仕組みなど、人間も自然の延長線上にいるだけなんだと思えて、肩の力が抜けていきます。 生き物たちの死にざまを通して見えてくるのは、孤独も不安も特別なものではなく、生きているからこそ生まれる当たり前の感情だということ。未来にばかり気を取られて今を見落としがちな人に、そっと効いてくる一冊です。こんな人に刺さると思います。自分のペースでしか生きられないと感じている人。
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