
やがて消えゆく我が身なら (角川ソフィア文庫)
池田 清彦
KADOKAWA / 2008-05
この本について
最近、何に対しても「ちゃんとしなきゃ」「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い立ててしまう瞬間が多くて、ふと立ち止まると疲れている…そんな相談をよく聞きます。努力そのものは嫌いじゃないのに、どこかで他人の情緒や社会の期待に引っぱられている気がして、息苦しさだけが残る。自分もよくこの袋小路に迷い込みます。 この本は、そういう時に「そもそも人間ってどういう生き物なんだっけ」という足場に戻してくれるような一冊でした。たとえば、子どもの才能を無限に信じろという空気への違和感や、労働を美徳とする社会の前提に対して、著者は淡々と生物学的な視点から距離を置いていきます。そこに大上段の処方箋はありませんが、自分の情緒を絶対視しないことや、他者の人生を勝手に物語化しないことを静かに促してくれる感覚があります。また、未来が「空手形」になりやすい年齢についての指摘は、今の自分の時間の使い方を見つめ直すきっかけになりました。頑張るかどうかの話ではなく、どの瞬間に意識を置くかの問題として語られるのがありがたいところです。 刺激的な言い回しも多いのですが、結局は「自分も他人も、そこまで思い通りにはならない」という当たり前に帰ってくる本です。無理に前向きにならなくていいけれど、世界との距離感だけは整えたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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