
日本人の身体 (ちくま新書)
安田登
筑摩書房 / 2014-09
この本について
最近、自分の感じ方がどんどん平板になっている気がすることがあります。忙しいせいなのか、あるいは年齢なのか、景色を見ても音を聞いても、昔みたいに心が動かない。けれど、何をどう変えたらいいのかはよくわからないまま、日々が流れていく……そんな時期に読んだのが『日本人の身体』でした。 この本は、知識を増やすというより、ものの見え方を静かに揺らしてくるタイプの一冊です。例えば、「からだ」と「身」が本来まったく別の意味だったという話は、自分の身体の扱い方そのものを見直すきっかけになります。生きている「身」は心や魂と一体だった、と聞くと、今の自分の在り方がどれだけ頭に偏っているかに気づかされます。また、朧月に「音」までが霞むという感覚や、気象によって時空が揺れる能の世界の話を読むと、日常の景色にもじんわり奥行きが戻ってくる感じがするんですよね。境界が実体ではなく、人の合意で生まれる「あわい」だという説明も、他者との距離の取り方をそっと調整してくれるようでした。 派手な結論はありませんが、自分の感受性がちょっと乾いてきたなと思う人には、静かに効いてきます。特に「今の自分の感覚がどこか薄い」と感じている人には響くはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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