
疫病神(新潮文庫)
黒川 博行
新潮社 / 2012-02-01
この本について
仕事でも人間関係でも、自分のペースで考えたいのに、現場はそう待ってくれないことってありますよね。慎重にいこうとすると「遅い」と言われ、動けば動いたで「もっと考えろ」と突っ込まれる。そんな板挟みのまま、結局どこで判断すればいいのか分からないまま一日が終わる。僕もよくそこで立ち止まります。 黒川博行の「疫病神」は、派手な抗争よりも、そうした“迷っている暇がない現場”のリアルさがじわっと効いてきます。桑原と二宮のかみ合ってるんだかいないんだか分からない距離感は、妙に仕事仲間との関係に重なるし、筋者同士の「先に動いたほうが勝つ」という価値観は、こちらの仕事にも少しだけ持ち帰れる感覚がある。考え込みすぎて動けないときに、背中を軽く押される感じがあります。 さらに、産廃業界と行政のねじれた構造や、いくつものラインが水面下でつながっていく描写は、普段の職場や取引先で感じる「表から見える話だけでは判断できない」あのモヤモヤに通じます。情報が揃っていなくても進まなきゃいけない状況で、どう腹をくくるか。そこが妙に現実的で、読みながら自分の判断の癖が透けて見えるような感覚がありました。 落ち着いて考えたいけど、現場は待ってくれない。そんな人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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