
太平洋戦争と新聞 (講談社学術文庫)
前坂俊之
講談社 / 2007-05-10
この本について
最近、情報に触れるたびに「結局、何を信じていいのか分からない」と感じることが増えてきました。場の空気や同調圧力のほうが真実よりも強く見える瞬間があって、そこで自分がどう振る舞うべきか迷ってしまう。そんなモヤモヤに、この本はかなり現実的な視点をくれました。 『太平洋戦争と新聞』が描いているのは、戦時下の特殊な話ではなく、私たちの日常にも通じる「組織として正しいことが言えなくなる瞬間」の連続です。勇気の欠如が積み重なると、気づけば批判すべき側に肩入れしてしまう空気ができあがること。公平・客観をうたう報道姿勢が、既成事実の追認になってしまうこと。読者が保存していた抜粋にも、こうした“分かっていても言えない”構造への違和感に反応している跡がはっきり出ていて、そこがこの本の一番刺さる部分なんだと思います。 読んでいて特に重かったのは、新聞自身が「被害者」だけを名乗りたがり、国民に対する“加害者性”には目を向けなかったという指摘です。自分の立場を守ることで手一杯になった瞬間に、どんな組織も同じ落とし穴に落ちる。これは歴史の話というより、今の職場やチームでも簡単に起こりうることだと感じました。 覚悟を決めて何かを主張するというより、まず「沈黙が何を生むか」を知りたい人に向いています。歴史書というより、自分の働き方や意思表示の仕方を一度立ち止まって考えたいときに静かに効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
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