
戦争プロパガンダ10の法則
アンヌ・モレリ and 永田 千奈
草思社 / 2002-03
この本について
情報が多すぎる時代に、生々しい争いやニュースを見るたび、「何を信じればいいのか」「自分の感情がどこまで影響されているのか」が分からなくなることがあります。冷静でいたいのに、強い言葉や印象的なエピソードに気持ちを持っていかれる。その揺れ自体がけっこうしんどいんですよね。 『戦争プロパガンダ10の法則』が効いてくるのは、この“揺らぎの正体”を一段引いた位置から見られるようになるところです。条約も倫理も、都合がよければ「守るべきもの」になり、不利なら「紙切れ」になるという現実。どの時代でも、人は憎悪や正義感に火をつけられやすいという、人間そのものの性質。そして、インターネットがどれだけ進化しても、感情を動かす仕組みそのものは100年前からほとんど変わっていないという事実。こういう構造を知っておくと、目の前の出来事に飲まれすぎず、少しだけ距離を置く判断ができます。 特に、敵を「一人の顔」に集約して悪者に仕立て上げる手法や、悲惨なエピソードがどのように増幅され、政治的な材料として扱われていくのかを追っていく部分は、今のニュースの見え方まで変えてきます。誰かを一刀両断したくなる瞬間に、ほんの一拍だけ立ち止まれるようになる。本書はそういう実用性があります。 「情報を追うほど心がざわつく」という人には、とても静かに効く一冊だと思います。
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